決算書をチェックすることで、収益構造の悪化の兆候・資金繰りの悪化の兆候・粉飾決算の兆候などがわかります。過去3年分の決算書を入手しておきましょう。
決算書の入手方法
まずは問題の企業の決算書を入手しましょう。正しい判断を下すためにも、できるだけ3年以上の決算書を用意するのがポイントです。株式会社は、全て決算報告を公開しなければならない事になっていますので、直接請求するのが手っ取り早い方法です。大手の企業であれば、以下のような入手方法もあります。
- 日本経済新聞などに「要旨公告」として掲載される場合があります。大きな図書館に行けば、過去の記事を集めた「縮刷版」が置いてあるはずです。注文すれば書店でも入手できます。
- ウェブサイトを持っている企業の中には、過去数年分の決算書を、PDFでダウンロード出来るようにしている場合があります。
なお、決算書の開示請求に強い拒絶を示すような場合は、それだけでも、何か隠したい特別な事情があるのだと勘繰ってみて良いかもしれません。
収益構造の悪化の兆候
販売力を超過した生産や、無理な販売のための過剰な値引きや管理不在、販売促進のための膨大な費用負担、もしくは販路拡大のための売上回収サイトや貸し倒れ管理の不在といったような行動をとっている企業は警戒すべきでしょう。
- 売上高が停滞したり、減少傾向になっていないか
- 経常利益が急に減少していないか
- 販売コスト(中でも宣伝広告費)の急増や金利の負担額が発生していないか
- 売上高の伸びを超越して未回収の債権が増加していないか
資金繰りの悪化の兆候
リスク管理や資金の安定確保よりも資金調達のみを考える企業は、往々にして、借入金融機関の数が増加します。借入金が下位金融機関にまで及んでいたり、受取手形のほとんどの割引や自振手形の街金融での割引を行っていたり、主要取引先に支払条件の延期や手形のジャンプの依頼、手元流動資産(現預金や有価証券)の取り崩しを行ったりといったような行動に踏み切ります。
- 借入金や金利負担が急に増加していないか
- 手持ち受取手形の急減や割引手形の急増が起こっていないか
- 手元流動資金が急に減少していないか
- 支払延期によって仕入債務が増えていないか
粉飾決算の兆候
正常な経理処理を行っている会社であれば正常な分析も可能なのですが、財務データが順調であるにもかかわらず倒産に至る場合には、大半は売上の水増しや経費の過少計上、会計操作といったような手口で粉飾が行われています。
- 売上の水増しのポイント
- 架空の売上や在庫、売掛金の計上を行っている
- 経費の過少計上のポイント
- 期末棚卸し資産の水増しや不良債権の貸し倒れ処理、減価償却の過少計上を行っている
- 会計操作のポイント
- 支払手形と受取手形の相殺や借入金と貸付金の相殺などが非常に目立つ
- 日常の観察と決算計上の数字に矛盾点が感じられる
- 売上がのびているのに社員の士気が減退している