取引先の業況を一番良く見える立場にいるのは、日常の業務でやりとりをする自社の営業担当者・事務担当者です。何か危険な兆候がないか、細かく確認・報告させましょう。
一番よく見えているのは”現場”の人間
小規模事業所においても大規模事業所においても、取引先の与信管理は非常に重要な業務になります。取引先の信用度を確認する方法としては、決算書の分析が一般的ですが、経営環境の変化が激しい現状においてはデータ調査会社の信用調査や決算書だけの判断では不安が残ります。
通常の業務の中でも会社の業況を判断する材料は数多くあり、本当のプロは、数値や評点にはあらわれていない兆候から、会社の危機を読み取ります。まずは、以下のポイントについて、自社の営業担当者・事務担当者に確認・報告させましょう。
危険な会社のチェックポイント
- 1.社員の態度が悪い、ムードが悪い
- 社員の表情が暗い・電話の声にハキが感じられない・仕事に誠意が感じられない・社員から社長の非難が出る
- 2.職場が何となくあれている
- 空き机が多い、極端に片付き過ぎ・清掃されていない・雰囲気が雑然・在庫が無造作に放置され整理されていない
- 3.会社の雰囲気が急に変わった
- 退職者や解雇者が増えた・重要人物が退職した・知らない顔ぶれが増えた
- 4.社長や経営幹部などの挙動が不審である
- 未回収の売掛金が増えた・自社に取引条件の変更を申し入れてきた・不在がちになった・幹部役員が急に退職した
- 5.他の取引先との関係がおかしい
- 電話でだれかともめている・出入り業者や取引金融機関などの顔ぶれが変わった・評判の悪い企業と取引している
業績の落ちてきた企業は、当然社員の士気も落ちてきますし、資金面が不安定になれば他の取引先ともめたりして、新しい取引先しか相手にしてくれなかったりといった異変が起きます。
営業担当者には、こうした情報を速やかに確実につかめるように普段から取引先社員の中から何かと情報をえられるようにしたり、同業者間の人脈を持ち、いち早く情報が伝わるような努力が求められます。
チェック項目リスト
- 経営者の調査ポイント
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- 歴史にあぐら
- 考え方に優柔性がない
- 健康に心配
- 個人資産が少ない
- 経営方針が不明確
- 偏屈・お天気屋さんで朝令暮改の性格
- 部下からの悪口が聞かれる
- 秘密事項が増える
- 人の忠告を聞かない
- 自分の得意話が中心
- 壮大な事業計画を口に出す
- おだてに乗りやすい
- 服装が派手になった(衣)
- 生活が派手になった(食・住・車)
- マークの無い名刺
- 不自然な印象の名刺
- 仕事以外の公職や活動に熱心
- 公私混同
- 家庭不和のウワサ
- 電話をかけても出ない
- 経理面の調査ポイント
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- 売り掛け・借り入れの増加
- グループ会社の赤字
- 決済日等取引条件の変化
- 手形サイトの変化
- 手形裏書人の問題
- 手形が街金へ出回る
- 経営者の銀行回り
- 税金・社会保険の延滞
- 現金回収と手形回収比率の変化
- 取引銀行が変わった
- 融通手形のウワサ
- 手形のジャンプ実績
- 第三者への債務保証
- 高利の借り入れ
- メインバンクがない
- 不健全資産を保有
- 組織の調査ポイント
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- 玄関が雑然としている
- 社員の応対が悪い
- 経理担当者不在
- 社員間の会話が暗い
- パートなどの減少
- 社員の会社批判
- 社員の素行不良
- 就業規則が明文化していない
- 役員が経営状態を説明できない
- オフィスが整理されていない
- 社員の言葉使いや電話の応対が悪い
- 役員などの家庭の問題
- 物の調査ポイント
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- 在庫内容と会社目的の相違
- 本業以外の取り扱い商品
- 市場に類似商品が増加
- 商品が市場ニーズに不一致
- 不良品・クレーム
- 主要仕入先の変更