盗聴器や盗撮器の設置箇所の傾向を知ることで、予防に役立てましょう。意外なところほどよく狙われます。
設置場所の概要
設置場所はさまざまですが、一般家庭に設置されている盗聴器の多くは手軽に取り付けられる二叉・三叉コンセントや、電話のモジュラージャックに擬装したものです。このようなタイプは取り付けが容易で、家の主が少しスキ(三つ又などをコンセントに差し込む時間)を与えただけの時間でも設置することができるためです。
他にも、電話線に中継コードや延長コードとして挿入することで、電話の会話を聴くことの出来る電話用の盗聴器もあります。これは、電話機の後ろのコードを抜いて偽装ユニットに差込み、偽装ユニットのコードを電話機に差し込めば電源が電話線から供給されるもので、一度取り付ければ半永久的に音声を送信し続けます(電話使用時)。
もちろん、ぬいぐるみの中や、机の裏などの発見されにくい場所も、盗聴器の設置箇所としては多く用いられます。コンセントの裏側や電話機の内部、配電盤の中、電柱の端子函などに設置されるケースもあります。アパートやマンション、玄関に郵便受けがあるような一戸建ての場合、部屋の外からでも仕掛けられる場所として郵便受けに設置されるケースも多くみられます。
一般家庭の取り付けられやすい場所
一般家庭の部屋の中で取り付けられるケースの具体例は下記の通りです。(感電の恐れが高いため、自分で点検するのは絶対におやめください。専門家の立ち会いが必要です。)
半永久発信タイプ(電池不要)
- 室内灯
- 室内灯その物の裏側に設置されているケースが多く、グローランプタイプの偽装品もある。主に室内灯の電源を使用するタイプで、盗聴器・盗撮器共に設置事例が多い。
- 置時計
- 電源を必要とする置き時計の偽装品で、盗聴器・盗撮器共に設置事例の多いタイプです。
- コンセント
- コンセントの裏側に設置されているケースが多く、その他三つ叉ソケットや延長コードの偽装品も多く出回っています。
- 保安器
- 一般家庭には、電話の引き込み線は電線から入ります。その電線の行き先は各家庭にある保安器です。保安器は落雷による火災(落雷による電流を保安器で止められるため)や電話機の破損・人的被害を防ぐための機器で、電柱から家までの延長線上にある外壁に取り付けられていますが、この中にあるヒューズの偽装品(ヒューズ型盗聴器)が電話盗聴で最も多く使われます。手が届く程度の高さに保安器が設置されていれば、部屋の内部に進入せずとも容易に外部からの設置が可能で、その容易さから設置事例も数多くなっています。可能なら、フタを開ければわかるような「しるし」をしておくなどの注意が必要です。(相沢では、はがせばちぎれて再生不可能な「盗聴盗撮調査済み」のシールをはり付けるほど、重要な箇所です。)
時限タイプ(電池が必要で稼働時間に限りがあるタイプ)
- 花瓶
- 来訪者による花瓶の底や、中への設置が考えられます。
- 絵画
- 来訪者による絵の裏側への設置が考えられます。
- ぬいぐるみ
- プレゼントとして送られる品物なら、その内部への設置が考えられます。
- 掛け時計
- 短時間の盗撮のために設置されるケースがあります。
- 机
- 引き出し内部の奥や、机の裏側など、陰になる箇所への設置が考えられます。
- 換気扇
- 盗撮目的のためにビデオカメラなどを設置される事があります。
- エアコン
- 高い位置にあることから、オフシーズンでエアコンを使用しない季節であれば、何かを仕掛けられても目立ちません。このため、盗聴器や半永久的盗撮カメラを設置されるケースが良くあります。
- 新聞受け
- アパートやマンションを始め、玄関に郵便受けがあるような一戸建ての場合、部屋の外からでも仕掛けることのできる場所として使われる場合があります。また、防犯レンズを外から15度の角度で見渡せる「逆防犯レンズ」もある事から、ドア周りにはよくよく注意が必要です。
盗聴器の設置難易度と盗聴者との距離
以前は方法を問わず、数百m以内に潜んでいたはずの盗聴者。携帯電話とPHSの登場は、盗聴の世界に画期的な進化をもたらしてしまいました。下記の分布図は、盗聴器を「設置の難易度(リスク)」「被盗聴者(盗聴される人)と盗聴者(盗聴する人)の距離」の2点から分類したものです。
中でも携帯電話とPHSの登場は、盗聴の世界に画期的な進化をもたらしてしまいました。これらを用いた盗聴は、電話回線網と自動着信機能を使うので、好きな時に、好きな場所で、盗聴できるのです。(もっとも、携帯ジャマーには弱いという側面もあります。)
例えば、電波式発信機の場合は、電波の出力によって飛距離は変化しますが、盗聴の範囲は数百mの範囲内だとされています。一方、携帯電話やPHSを転用した盗聴器の場合は、基本的にどこからでも受信可能です。極端にいえば、北海道に仕掛けたものを、沖縄で傍受することも、当たり前です。
ただし、電波式発信機も、携帯電話も、仕掛ける側は一度、部屋に侵入する必要があります。このため、盗聴器設置の痕跡や、だれが盗聴しているのかの証拠を、見つけやすいという側面はあります。
一方、コンクリートマイクやレーザー盗聴器の場合は、外部からのアクセスになるため、盗聴の痕跡が室内に残されません。証拠の収集をするためには張り込み調査などを行う必要があります。