探偵業法のまとめ

探偵業は、個人情報に関わる業務ですが、近年、その業務を利用して違法行為に及ぶ悪質業者や料金トラブルが後を絶たない状況にあります。この様な状況から、消費者を保護するため、平成16年6月1日、探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号)。探偵業法が施行されました。

探偵業法の施行に伴い、探偵業を営もうとする場合、公安委員会への届け出が必要となり、探偵業務の運営適正化のための規制を受けています。ここでは、この探偵業法のあらましなどについて少しまとめておきたいと思います。

1. 探偵業の定義

ここでいう探偵業務とは、「他人の依頼を受け」「特定人の所在または行動について情報を収集することを目的として」「面接による聞き込み、尾行、張り込みなどにより実地の調査を行い」「その結果を当該依頼者に報告する」業務をいいます。

探偵業とは、探偵業務を行う営業をいいますので、学術調査活動、弁護士、税理士または公認会計士が自ら受任した事務を行うため必要な活動または専ら、報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われる調査活動などは除かれます。

探偵業者とは、公安委員会に届け出をして、探偵業を営む法人・個人をいいます。

2.公安委員会への届け出義務

次のいずれかの欠格事由に該当する場合、探偵業を営むことができません。

  1. 成年被後見人、被補佐人または破産者で復権を得ないもの
  2. 禁固以上の刑または探偵業法違反で罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることができなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 最近5年間に探偵業法第15条(営業の停止等)の規定による処分に違反した者
  4. 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年でその法定代理人が上記の項目に該当する者
  6. 法人でその役員のうち上記1〜4までのいずれかに該当する者があるもの

(付記)探偵業を営もうとする場合、公安委員会への届け出の必要があります。探偵業は、その営業所ごとに「探偵業開始届出書」に内閣府令で定める書類を添付して、営業所所在地を管轄とする警察署長(生活安全第一課)を経由して公安委員会に提出し、届け出をしなければなりません。

注:探偵業の営業開始日の前日までに届け出が必要で、営業を廃止または変更した日から10日以内に同様に届け出が必要です。

内閣府令で定める書類

  1. 履歴書と住民票(本籍地記載のもの)の写し
  2. 欠格事由に該当しない旨の誓約書
  3. 市町村長発行の身分証明書
  4. 登記されていないことの証明書(法務局)
  5. 法人の場合は、定款、登記事項証明書及び役員に係わる1〜4に掲げる書類

公安委員会への届出者と探偵業届出証明書の交付

届出者には、探偵業届出証明書が交付されています。公安員会は、探偵業開始、変更および再交付の届け出をした者に対し、探偵業届出証明書を交付していますが、この探偵業届出証明書は、探偵業を営むに際し、必要な届け出をした証しに過ぎません。公安委員会が営業を許可したという許可証とは、全く性質が異なりますので注意が必要です。

探偵業者の義務

探偵業務を行う際の「基本原則」とは、次各項です。

  1. 他の法令において禁止または制限されている行為はできません。
  2. 人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害してはなりません。
  3. 名義貸しを禁止しています。探偵業者は、自己の名義を使い、他人に探偵業を営ませてはなりません。
  4. 依頼者から「調査結果を犯罪、違法行為等に用いない」旨の誓約書を受領しなければなりません。

契約するときは、あらかじめ、下記枠内の事項について書面を依頼者に交付して説明しなければならない。

  1. 探偵業者の商号、名称または氏名及び住所(法人にあっては代表者氏名)
  2. 届け出証明書に記載されている事項
  3. 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律その他の法令を遵守する旨
  4. 探偵業法第10条(秘密の保持等)に規定する事項
  5. 提供することができる探偵業務の内容
  6. 探偵業務の委託に関する事項(業務を他者に委託することが有るか否か、有れば、委託内容)
  7. 依頼者が支払う金銭の概算及び支払時期
  8. 契約の解除に関する事項(契約解除についての定めが有るか否か、有れば方法・内容)
  9. 探偵業務に関し作成、取得した資料の処分に関する事項(処分するか否か、する場合は、方法・時期)

重要事項の説明の義務

契約締結前・後に、重要事項を説明する義務があります。

契約したときは、遅滞なく、下記枠内の事項について書面を依頼者に交付しなければならない。

  1. 探偵業の商号、名称または氏名及び住所(法人にあっては、代表者氏名)
  2. 契約締結を担当した者の氏名および契約年月日
  3. 調査の内容、期間及び方法
  4. 調査結果の報告方法および期限
  5. 探偵業務の委託に関する事項(業務を他者に委託することが有るか否か、有れば、委託内容)の内容
  6. 依頼者が支払う金銭の額並びにその支払時期及び方法
  7. 契約の解除に関する事項の内容
  8. 探偵業務に関し作成、取得した資料の処分に関する事項内容

実施に関する規制

探偵業務の実施に関する規制が設けられました

  1. 依頼された調査の結果が、違法行為に用いられることをしった時は、業務を行えません。
  2. 探偵業務は届出業者以外の者に委託できません。

秘密の保持義務

探偵業の従業者すべては、正当な理由なく、業務上知り得た秘密を漏らしてはなりません(退職後も同様)。また、探偵業者は、業務作成、取得した資料について、不正利用の防止措置を取らなければなりません。

従業員を教育する義務

従業者を教育する義務があります。探偵業者は、探偵業務を適正に実施させるため、従業者に対し、必要な教育を行わなければなりません。

名簿の備え付け

必要な事項を記載した従業員名簿を営業所ごとに備え付けなければなりません。従業者が退職した日から3年経過する日まで備え付けておく必要があります。

必要な事項と、写真サイズ
必要事項は、氏名・住所・性別及び生年月日、採用・退職年月日及び従事する業務内容
写真は3年以内に撮影の無帽、上三分身の写真(サイズ縦3cm×横2.4cm、無背景)

届出証明書の掲示

届出証明書を営業所の見えやすい場所に掲示しなければなりません。探偵業届出証明書は、依頼者が届け出業者か否かを確認できるよう、営業所の見やすい場所に掲示されています。

同じカテゴリに属する他の記事

探偵業の業務の適正化に関する法律
探偵業法で認可されない探偵は?
探偵業法で定義された探偵業の内容とは?
実体がないのに全国ネットの調査網?

カテゴリー: 未分類 | 最終更新日: | 投稿者: